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数学ガールシリーズ読書感想

読書

数学ガールは、結城浩氏による数学を題材にしたシリーズ小説であり、今年の4月に発売された「ポアンカレ予想」を含め、現在以下の6作が出ています。

  • 数学ガール
  • 数学ガール -フェルマーの最終定理-
  • 数学ガール -ゲーデルの不完全定理-
  • 数学ガール -乱択アルゴリズム-
  • 数学ガール -ガロア理論-
  • 数学ガール -ポアンカレ予想-

以前からこのシリーズはすべて読んでみたいと思い、少しずつ読み進めてはいましたが、結局すべて読み切れていませんでした。

今回は、このお盆でまとまった休みが取れましたので、これを機にすべて読んでみましたので、それぞれ感想でも綴ろうかと思います。

データサイエンス系の投稿ではないですが、たまには。

数学ガール

読み物ではありますが、式展開の流れが追いやすく、幾何学的解釈の図などもあって、とても分かりやすいですね。

数学ガール第一巻目の本書籍ですが、どうやら二巻目以降と違って、大きなテーマがあるわけではなさそうです。

章ごとに数学クイズが出てきて、それを解くといった流れ。

全体的には数列に関わる問題が中心となっているようです。

実は、この書籍でよく出てくる、数列と母関数の対応づけ云々の話は、実際にこの書籍が参考文献で取り上げている「コンピュータの数学」を大学生時代に手に取っていたこともあって、そのおかげか数式いじりの部分は追いやすかったなと思います。

Ronald L. Graham (原著), Donald E. Knuth (原著), Oren Patashnik (原著), ロナルド・L. グレアム (著), ドナルド・E. クヌース (著), オーレン パタシュニク (著), 有澤 誠 (翻訳), 安村 通晃 (翻訳), 萩野 達也 (翻訳), 石畑 清 (翻訳)

確率母関数がテーマだったので、この書籍と同じような数式いじりもしていました。

すべて忘れてしまいましたが笑

数学ガール -フェルマーの最終定理-

『方程式 x^n+y^n=z^nn{\geq}3で自然数解を持たない』がフェルマーの最終定理でした。

これを解くための数学の要素(素数、複素平面、\mod、群環体、オイラーの公式、保型・モジュラー、フライ曲線 etc.)などが、やはり追いやすく記されています。

フェルマー自身が解いた n=4 の場合の無限降下法による証明までは細かく追うことができますし、ワイルズの証明についてもストーリーが理解できるようになっています。

最終的には、近代的なアプローチで証明されたけれども、n が正則素数の場合においては、素因数分解の一意性を鍵に証明できるようです。

イデアルって、代数的整数において、整数のような素因数分解の一意性を保ちたいために考えられたものだったのか??

これらも大学時代に講義を受けた記憶はあるのだけれども、全部忘れてしまった笑

数学ガール -ゲーデルの不完全定理-

やっぱりここは一気に抽象度が上がった感じがしました。

フェルマーの最終定理の群論あたりがすでに抽象的に感じるとは思いますが...。

数学的論証について、ゲーデルの方法で数学的に形式化して、不完全性定理を証明するといった流れでしょうか...?

ひとまずゲーデルの不完全性定理は、簡単な流れ的にいえば、ヒルベルトが「数学的理論は、無矛盾であり完全である」ことを示そうとしたところ、ゲーデルが「数学的理論は、完全にはなりえない」ことを数学的に証明しちゃったという話。

最初の方で、正直者か嘘つきかの自己言及のパラドックスのクイズが出ていたのはこの考え方の例みたいなもので、「私は正直者(嘘つき)です」を自分で証明できないということですね。

しかし、最初の200ページ分くらいまでは、数学の厳密な書き方の説明としてはとても分かりやすく、一般の人が大学数学の内容を理解するために必要な知識を理解するのに適しているのではと、ふと思いました。

数学ガール -乱択アルゴリズム-

乱択アルゴリズム、いわば確率的アルゴリズムのお話なので、やはりテーマ的に内容としては確率とアルゴリズムのお話でした。

これは自分の仕事柄の背景もあってか、すいすいと読めました。

確率を数学的に考えることに躓く人は、割とこの本の第4,5章などは分かりやすい説明なんじゃないかと思いました。

アルゴリズムの数学的評価の仕方の入門としても適しているんじゃないかと思います。

私はプログラミングはどちらかといえば「動けばなんだっていいや」ぐらいの心持ちなので、プログラムを可能な限り速く効率的に動かすことに興味がある人ってこんなこと考えるのが好きなのかなーとか思いながら読んでいました。

数学ガール -ガロア理論-

あみだくじって、群やったんや笑

n 次方程式の解が、係数と係数を用いて加減乗除と根号で書き表す(2次方程式の解の公式みたいなもの)ことができるときの必要十分条件を、群の性質で表現するという内容。

これにより、5次以上の方程式は一般解が存在しないとのこと。

解析的数学の問いに、代数的数学でアプローチして解を獲るという繋がりが、分かりやすく書かれています。

私自身もこの辺りの話はよく知らなかったので、読んでいても、実際に色々と手を動かして調べてみたくなるような、面白い内容でした。

もちろん、これまでのシリーズと同様に詳しい証明までは載っていないのですが、ラグランジュの3次方程式の解の公式の導出などからヒントを得ながら、代数的に考えていくストーリーが、分かりやすく説明されていました。

数学ガール -ポアンカレ予想-

テーマはポアンカレ予想となり、内容はこれまでと変わってトポロジー(位相幾何学)になります。

主張は「基本群が単位群に同型な(単連結な)3次元閉多様体は、3次元球面に同相である」とのこと。

まずはこの命題の意味を理解するために、位相幾何学のあれこれを分かりやすく解説されています。

しかし、最終的にこれを証明したペレルマンは、トポロジーではなく、微分幾何学と物理学を使って証明したということらしい。

この書籍では、証明やそのストーリーなども触り程度の記載といった感じでしたので、よく分からなかったのですが、証明された結果として、位相空間として同相かどうかを判断するために、群の性質が使えるようになったとのことです。

なるほど、わからん笑

まとめ

充実した休みでした笑

シリーズの第2弾以降の各テーマについては、それぞれ何を主張しているのかについて、とても分かりやすく解説されていて理解しやすいので、導入としてオススメだと思いました。

証明を完全に理解したいとなれば、それぞれ別途専門書を読む必要がありそうです。

ずっと読みたいと思いながら積んだままの状態でしたので、消化できてスッキリしました。

といっても、内容をすべて理解したとは到底言えませんが...。

ちなみに、登場した数学のトピックは、「数学ガール」のWikipediaでそれぞれまとめられているのですが、改めて見直してみると圧巻です笑

- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%B0%E5%AD%A6%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%AB

次はどんなテーマになるのでしょうかね。

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